ambfダイアリー

Arts,Movie,Book,Foodでambfです。アラサー男子がアウトプットのために始めました。

【雑記】好きなドラマを挙げていったら全てフジテレビだった

今回はいつもと趣向を変えて、私の好きなドラマをだらだらと挙げていこうと思います。

 何を載せようかと好きなドラマを挙げていったら、全てフジテレビでした。

 昔はバラエティのイメージが強かったフジテレビですが、ドラマも強力なコンテンツだったと思います。

 それでは順不同で紹介していきます。

 

やまとなでしこ

色々な見所はあると思いますが、これは松嶋菜々子を見るためのドラマです!手の込んだ壮大なPVです。

CA松嶋菜々子の破壊力たるや、言葉の数々、行動の数々、その全てが麗しい。もう一度言いますが、これは松嶋菜々子のためのドラマです!たまに矢田亜希子です。

 

白い巨塔唐沢寿明Ver)

こちらはキャストの豪華さだけでなく、緻密な脚本、壮大な演出と、その全てにおいて質が高いドラマでした。

登場する人物一人ひとりの背景や葛藤も丁寧に描ききり、全ての人物に感情移入することができます。

この作品だけは、好きな人物を述べることができません。それだけ重厚な人間ドラマでした。

 ヘイリーの天使のような歌声や、日本ドラマ史上初となるワルシャワでのロケもドラマに深みを添えます。

最終回を見る度に、何度涙したことでしょう。

古畑任三郎

古畑任三郎のこれでもかという質の悪さ笑。しつこく、確実に犯人を追い詰める様は圧巻の一言。この人に目をつけられたら最後、運の尽きでしょう。 

豪華な犯人(ゲスト)や、脇を固める俳優陣も見所です。

私の好きな話はベタですが、喋りすぎた男(明石家さんま)です。

 

結婚できない男

阿部寛のコメディ男優としての旨味がこれでもかと出た贅沢なスープを飲んでいるかのような作品です。

主人公の不器用だけどいい人ぶりがたまらなく愛らしく、憎めません。ヒロイン演じた夏川結衣も、阿部寛にだけはムキになる所が可愛らしいです。

二人の掛け合いが微笑ましく、なんと相性のいいことでしょうか。

続編が見たくてたまらなかった作品です。きっと素晴らしい掛け合いを披露してくれたに違いありません。

 

プロポーズ大作戦

山下智久長澤まさみの、ラブコメ青春劇。

タイムトラベルして過去をやり直すという設定は、誰もが一度は夢見るのではないでしょうか。

長澤まさみと結婚するはずだった藤木直人に同情しつつも、幼なじみとくっついて欲しいと思うのは恋愛ドラマの常です。

「あの時、あぁしてたら」という後悔を、桑田佳祐の主題歌がセンチメンタルな気持ちに昇華させてくれます。

 

テレビの魅力低下が叫ばれています。

昔は、自分の青春時代を彩り、人格形成にも影響を与えてきたドラマがありました。見ると幸せな気分になれるドラマがありました。

今見ても、十分見応えがあるものばかりです。

昔のように、魅力溢れる ドラマが数多く生まれることを、陰ながら願っています。(私に出来ることは、見ること位しかないかもしれませんが。)

特に、フジテレビは私の大好きなドラマばかりでしたので、その気持が強いです。

取り留めがないですが、お読みいただき、ありがとうございました。

 

 

【映画紹介】アラバマ物語-オバマ大統領も尊敬した、アメリカの英雄

本日は、アラバマ物語(ロバート・マリガン監督 1962年 アメリカ)の紹介です。1930年代のアメリカ南部を舞台に、グレゴリー・ペック演じる弁護士アティカスが関わる裁判を通して、人種差別や不条理さを描きます。アカデミー賞主演男優賞、脚色賞、美術賞を受賞しています。

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トーリー

アティカスは田舎町の弁護士であり、正義感が強く篤実な人柄で周囲から信頼されています。ある日、白人女性に対する婦女暴行事件で黒人容疑者トムの弁護をすることになります。

感想

当時のアメリカ南部は人種差別が根強く残っており、アティカスは黒人の弁護を引き受けたために、心ない人々からの中傷を受けたり、子供たちが学校でいじめられます。それでも、公正な態度で誠実にトムと接します。

トムには犯罪をすることができない十分な証拠がありました。アティカスは理路整然と心のこもった言葉で、トムの無罪を立証しようとします。

陪審員は白人で、先入観を持たずに審議して欲しいと、アティカスは最後の念押しの言葉を述べます。

 

己の信念に則って、正しい行動をすることは、言うまでもなく立派なことです。漫画や映画等でも、往々にしてそのような者が主人公であり、ヒーローです。悪魔の実や長い爪等の特殊能力こそ持っていませんが、言うまでもなくアティカスはヒーローです。

事実、2003年にアメリカ映画協会が選んだ「アメリカ映画100年のヒーロー」に、インディジョーンズやロッキー等を抑えて、第一位にランクインしています。

最近では、オバマ前大統領の退任スピーチで、アティカスの言葉が引用されたことが話題を呼びました。オバマ前大統領は弁護士だったこともあり、アティカスと自身を投影したり、範としたことがあったのではないかと個人的には思います。

最後にオバマ前大統領が引用した言葉を載せて、本日の締めとします。

「その人の視点から考え、その人の肌の色で歩き回ってみない限り、その人を本当に理解することはできない。」

 

 

【西洋絵画】印象派隆盛のきっかけとなった3つの理由

印象派はモネやルノワール等の画家の作品で有名です。風景や市民の生活が彩り鮮やかに描かれており、単純に絵そのものを直感的に楽しむことができます。歴史や神話等の知識が不要なため、日本人にも親しみやすく、西洋絵画の中でも人気のジャンルです。

因みに、印象派の名前の由来は1872年にモネが描いた「印象-日の出」という作品から来ています。

 

モネ「印象-日の出」

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今日は、印象派が栄えるきっかけとなった3つの理由を紹介します。

 

1 油彩絵具の発達

19世紀半ばに、チューブ入り絵の具が考案されます。これにより、画家は屋外での制作が容易になりました。それまでは、屋外でスケッチをして、それを基に屋内のアトリエで制作していましたから、制作の手間が省かれただけでなく、より質の高い描写が可能となりました。

 

2 カメラの登場

19世紀後半にカメラが普及してきます。これは画家の生命を脅かす危機でもありました。依頼者を忠実に描く、肖像画が不要になってしまうため、画家は事物を正確に書くことに代わる、新しい表現を模索する必要がありました。

もっとも、カメラを危機として捉えず、自らの芸術に活かそうとした画家もいます。その筆頭がドガです。

例えば、「競走馬」では右端の馬が見切れていることに、写真の影響を見ることができます。

また彼は、カメラを使って動きの一部分を切り取り、躍動感のある作品を多く生み出しました。特に、バレリーナをモデルとした作品を数多く残したことで有名です。

 

ドガ「競走馬」

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ドガ「エトワール」

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3 日本の浮世絵

1867年のパリ万博(大政奉還と同じ年です)に、幕府は、日本の浮世絵を出品しました。立体的な絵を追求してきた西洋の画家達は、平面的なタッチの中に鮮やかな色彩を用いた浮世絵に驚きました。浮世絵はたちまち話題となり、画家に大きなインスピレーションを与えました。これは「ジャポニズム」とも呼ばれ、印象派画家がこぞって日本風の絵画を残しました。

以前の記事でも少し記載しましたが、当時の若手画家は新古典主義の旧態依然とした体質からの反発を求めており、新しい表現を模索していた中で、浮世絵がヒットしたのです。

 

ambf.hatenablog.j

 

 歌川広重「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」

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モネ「ラ・ジャポネーズ」

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印象派の絵は、予備知識がなくとも感覚的に楽しむことができます。そのため、西洋絵画を好きになる端緒となりえます。ここから派生して、宗教やギリシャ神話等にも興味を持つことで、西洋絵画の森へ入ることができます。

目下のところ、私も勉強中なので、このブログにてアウトプットしていけたらと思っています。

どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

【書評】映画を見ると得をする

映画を見ると得をする(池波正太郎新潮文庫)の書評です。鬼平犯科帳剣客商売等の作品で知られる池波正太郎は、自分のことを映画狂(シネマディクト)と評するほどの映画好きでした。氏の映画に対する考え、鑑賞の視点、映画の効用等をまとめたものが本書です。

 

なぜ映画を見るのか

幾つもの人生を、僅か2時間程度で経験できるからだと、氏は言っています。

人間誰しも、自分の人生しか経験できません。しかし、映画を見ることで、西部劇、近未来、大恋愛等、様々な世界に入り込み、その世界に生きる人々の人生を追体験することができます。

 

映画の効用

映画を見続けていると、人間が灰汁(あく)ぬけてくるとも氏は言っています。フランス映画を40年見続けてきた筆者は、初めてフランスに行ったときもいい飲食店を見つけるのが抜群にうまかったそうで、周りの人はびっくりしていたそうです。

 

映画の見方

氏は本書の中で、いい映画は二度・三度と見るべきだと言っています。重ねて見るに連れて、1回目では気付かなかった音楽・カメラワーク・衣装等にも発見があるとのことです。また、年齢を経て見ると、別の視点で見ることができるとも言っています。

また、巨匠の作品でも秀作とは限らないが、ワンショットは素晴らしいものがあったり、つまらない映画でも思いがけない俳優に出会ったりと、どんな映画にも見どころはあると筆者は言います。映画への愛が伝わってきます。

他にも、殺しのシーンに美的センスがあるかで、監督の技量が分かることや、無駄な台詞がない「映画文法」とは何かを芝居と比較して説明しています。

余談ですが、映画は胃の腑に影響を及ぼすとも言っています。筆者は洒落たフランス映画を見たあとは、フランス料理を食べたくなると言っています。

これは本当にその通りで、私も小津安二郎の映画を友人と見た後は和食が食べたくなりました。蕎麦、うなぎ等と迷った挙句、とんかつ屋に入りました。

 

感想(映画を見続けて来た変化はあったか)

もともと映画は好きだったので、大学時代から昔の映画を中心にちょくちょく見てきました(午前十時の映画祭には本当に感謝しています。素晴らしい企画です。)。

本書の存在を知り購入したのが数年前で、氏の言葉に感化され、1年間で100本見たときもありました。累計鑑賞本数は300本位だと思います。

灰汁抜けてきたかどうかは分かりませんが、見てよかったことは幾つかありました。

1つ目に、世界の街並みを知ることができました。例えば、「ニューシネマパラダイス」からはシチリアののどかな風景、「ひまわり」からはロシアの厳格な景色、「旅情」からはヴェネツィアの風情溢れる景色が色濃く思い出されます。書籍でも世界の絶景を知ることはできますが、2時間程度、その街を見ているわけですから、強く印象に残ります。

2つ目に色々な文化を知ることができました。「きっとうまくいく」からは、インドの結婚式はガーデンパーティーが主流なこと、様々な階層の生活様式を拝見できること、「ラストエンペラー」からは、それはそれは壮大な宮殿があること、「アラビアのロレンス」からは、べドウィンの生活様式を垣間見ることができました。

3つ目に、色々な感情を経験できることです。アメリカンニューシネマの筆頭である、「タクシードライバー」や「卒業」からはどうしようもない鬱々とした感情、「たんぽぽ」からは並々ならぬ食へのこだわり、「大人は判ってくれない」からはナイーブな子供の感情、「アニーホール」からは恋愛の難しさ、「歩いても歩いても」からは何気ない感情の機微を堪能することができます。

 

ここで挙げた映画はほんの一例で、紹介したい映画が沢山あります。

映画を見て、年収が上がったとか、もてるようになった等の実利は特にないですが、精神面で多少なりとも豊かになったかなとは思っています。

書評というよりかは、映画への愛を語る記事になってしまいましたが、これからも映画を愛する一人の人間として、映画を見続けたいです。

お読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

【映画紹介】旅情

 旅情(監督デヴィッドリーン 1955年 イギリス・アメリカ)の紹介です。キャリアウーマンの女性がヴェネツィアでのひとり旅中に、現地のイタリア人男性と恋に堕ちる映画です。主演はキャサリン・ヘプバーンです。

 

トーリー

 アメリカで秘書をしている38歳独身のジェーンは長期休暇を取り、ヨーロッパへのひとり旅をする。最終目的地であるヴェネツィアを訪れたジェーンはサンマルコ広場でイタリア人男性レナートと出会う。

 

感想

  映画の魅力の一つに、色々な街の風景を楽しめるということがあります。この映画ではヴェネツィアの綺麗な景色を堪能できます。水の都としての風景や古くから残る町並みを堪能できます。ヴェネツィアングラスも出てきて、特産品の勉強にもなります。

 ルネサンス期のヴェネツィアティツィアーノらの色彩豊かな絵画が生まれました。デッサンのフィレンツェ、色彩のヴェネツィアという言葉もあります。

 

  • レナードの洒脱さ

 パンツェッタ・ジローラモのように、お洒落で女好きというのが、イタリア人男性のイメージですが、レナートもまさにイメージ通りのイタリア人です。

 明るく、冷静に、情熱的にジェーンにアプローチしていきます。距離の詰め方や言葉遣い等が格好よく、あぁこれは落ちますわと納得します。妻子持ちですけど、、、

 レナートはことあるごとに、「prego(プレーゴ)」という言葉を使います。イタリア語で「どういたしまして」や、「どうぞ」等、幅広い意味で使える汎用性のある言葉です。プレーゴのイントネーションがとても格好よく、イタリアに行った際は陽気にプレーゴを連発しようと思っております。

 

  • タイミング・フィーリング・ハプニング

 恋愛に発展するのに必要な3条件としてよく挙げられますが、この映画にはそれがお手本のように、凝縮されています。

 ジェーンとレナートの出会いはサンマルコ広場ですが、そこでは2人は言葉を交わしません。翌日、ジェーンが偶然入った骨董店の店主がレナードであることから2人の恋は始まります(タイミング)。

 秘書としてバリバリ働いてきたジェーンは知的な女性です。一方でレナートは陽気なイタリア人。ないものに惹かれあうのが恋愛の常なのか、2人はすぐに惹かれあいます(フィーリング)。

 ジェーンは骨董店をカメラで撮影していたところ、下がりすぎて後ろの運河に落ちてしまいます。濡れたままホテルに戻ったジェーンは、ホテルまで訪ねてきたレナートにデートに誘われます(ハプニング)。

 余談ですが、キャサリン・ヘプバーンは撮影のために運河に落ちたことが原因で、目の感染症に罹ったそうです。

 

 

 ヴェネツィアの街並みと大人のアバンチュールに彩られた映画「旅情」、見ていただけましたら幸いです。

【映画紹介】禁じられた遊び

 今回紹介する映画は「禁じられた遊び」(ルネクレマン監督 1952年 フランス)です。アカデミー賞名誉賞(後の外国語映画賞)を受賞しています。尺は1時間42分。

 第二次世界大戦期のフランスの田舎を舞台に、少年と少女の交流を通して戦争の悲惨さを描いた映画です。

 ナルシソイエペスが弾く、物悲しいギターの旋律も映画に一層の深みを与えます。

 

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トーリー

 少女ポレットは空襲により両親と愛犬を失い、愛犬の死体を抱きながら川沿いを彷徨っていた。するとミシェルという農家の少年と出会い、2人は仲良くなる。ポレットはミシェルの家に住み始めた。

 ポレットは死の概念を分かっておらず、ミシェルは死んだ犬の供養の方法を教えてあげた。犬を埋葬し、祈りを捧げた2人。ポレットは犬が一人で可哀想だから、沢山のお墓を作ってあげたいとミシェルに言う。

 2人は動物や昆虫の墓作りをするが、エスカレートするあまり、墓地から十字架を盗んでしまう。

 

感想

  • 圧倒的な哀愁

 この映画は「哀愁」の映画と言っても過言ではありません。2人が作った色々な動物の墓がナルシソイエペスの「愛のロマンス」をBGMに、映し出されるシーンの、哀しく繊細な美しさは今まで観てきた映画(鑑賞本数は300本ほどでしょうか)の中で、勝るものがありません。

 私がこの映画を初めて見たのは大学時代の春休みです。DVDでの鑑賞でしたが、このシーンを見たときに余りの表現の美しさに鳥肌が立ちました。「こんなにも哀しく美しい映像があるのか!」と衝撃が走りました。当時の私の驚愕ぶりは忘れることができません。この時の感動が私を映画好きにし、こぞって名作映画を観るようになりました。

 名作映画を紹介する本には、大抵この映画が載っており、その評価も数ある名作映画の中でも最高評価やそれに準ずるような評価を得ています。何気なく借りた1本でしたが、当時はそれほど箔のある映画だとは知らずに借りました。

 色々調べていくうちにこの映画が名作中の名作であることが分かり、嬉しくなったものです。

  • ポレットの魅力

 少女ポレットはこの時4歳~5歳位だと思います。ですが非常に大人びていて、ミシェルに十字架を盗むようにけしかける様子に、フランス女性のコケティッシュさ、妖艶さを早くも感じ取ることができます。

 ミシェルはあっさりと篭絡されていて、あぁ女性は怖くてすごいなと、当時は思ったものです。

 因みに、池波正太郎は生粋の映画好き(映画狂)でしたが、彼はルネクレマンのことを「子役の使い方がうまい」と評しています。激しく同意します。

 

  • 婉曲的な反戦への訴求

 この映画は反戦映画の名作と呼ばれています。声高なメッセージはないものの、戦争に翻弄される幼い2人を描いたことで、「反戦」が伝わっているのだと思います。(加えて、隣家とのけんかも戦争を暗示していると思います。)

 タイトルの「禁じられた遊び」は2人の墓作りだけでなく、戦争も指していると考えられています。

 ここに映画の真髄を見ることができます。感動を煽り立てることなく、何も言わずとも、意図を伝える監督の才に脱帽したものです。

 

 

 徹底的に褒めちぎりましたが、それ位、私の大好きな映画です。映画の中で1番好きです。今見ても昔ほどの感動は望めませんが、映画好きのきっかけになった映画でもあるため、ずっと胸の中で大切にしていきたい1本です。

 

 

 

【西洋絵画】裸婦画の系譜

 昨日の記事では「裸のマハ」を例に、裸婦画について触れました。

 今回は、さらに裸婦画について掘り下げていきたいと思います。

 

ambf.hatenablog.jp

 

 「裸のマハ」登場までは、画家は神話や宗教等にかこつけて裸婦画を描いてきました。単なる女性の裸婦画にならないように、様々なモチーフを使って女神であることを表現してきたわけです。

 昨日も紹介した、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」を用いて説明します。

ボッティチェリヴィーナスの誕生

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  まず、ヴィーナス左の男女の周りには薔薇がたゆたっています。右の女性の胸にも薔薇があります。薔薇はヴィーナスを示すアイテムです。

 また、ギリシャ神話ではヴィーナスは海の泡に包まれて誕生したとされていることから、中央の貝がそれを表しています。

 そして、左の男性は西風の神ゼフュロス、抱き合う女性は大地の精クロリスであり、2人とも愛の象徴です。ヴィーナスは愛の女神ですから、2人はそのことを強調する役割を果たしています。

 以上のように、様々なモチーフを使って、ヴィーナスを表現しているのです。

 

 では次に、ティツィアーノが描いたヴィーナスを見てみましょう。

 ティツィアーノ「ウルビノのヴィーナス」

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 とても綺麗な女性です。私の感想ですが、少し佐々木希に似ているように見えます。こちらは、一見すると普通の女性です。しかし、ただの裸婦画を描くわけにはいきませんから、どこかにヴィーナスの部分を残しておかなければなりません。

 そこで、女性の右手をよく見ると数輪の薔薇が握られています。そうです、この僅かばかりの薔薇が彼女をヴィーナスたらしめています。

 当時のパトロンが、限りなく生身に近いようにと注文したのでしょうか。

 

 次に、昨日も紹介した「裸のマハ」です。手短に紹介します。

ゴヤ「裸のマハ」

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 こちらは、女性が横たわっているだけ。正真正銘、何のモチーフもありません。西洋絵画史上初の、生身の女性を描いた裸婦画です。当時としては非常にセンセーショナルな絵画だったことでしょう。

 

 そして、「裸のマハ」にインスピレーションを受けたと言われているのが、マネのオランピアです。

マネ「オランピア

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 こちらはなんと、娼婦をモデルにしたものです。黒人の召使がお客からの花束を届けるところや、サンダル履きが娼婦を想起させます。

 当時のフランスの新聞や批評家は、こぞってこの絵を、「卑しい作品」と批判しました。展覧会で展示された際は、怒りのあまりステッキで殴りかかろうとする人もいたそうです。 

 数々の批判や罵詈を受けるほど、見たくなるものが人情というもので、この絵を見るために展覧会に行列をなしたそうです。

 多くの批判を受けた背景には、上述のティツィアーノの「ウルビノのヴィーナス」を模した作品であることが挙げられます。構図や腕輪、横たわる動物等、挙げればきりがないほど酷似しています。

 ウルビノのヴィーナスは当時から名画と絶賛されていました。その名画の女神を侮辱したと、新聞や市民は捉えたのでしょう。

 

 最後に余談ですが、今挙げた4点の裸婦画に共通しているものがあります。女性のポーズが全てゆるやかにS字となっています。

 これは女性の美を表現するのに最適のポーズで、女性の恥じらいを表すだけでなく、曲線を強調する効果もあります。古代ギリシャの彫刻から既にこのポーズがあります。

 最近の女性のグラビアでも多く見つけることができると思います。古代ギリシャの時代から現代まで受け継がれていることに驚きです。普遍性がすごいです。

 それでは今日はこんなところで終わりにします。お読みいただき、ありがとうございました。