【西洋絵画】絵画を見ると得をする3つの理由
こんにちは。本日は池波正太郎の「映画を見ると得をする」になぞらえまして、絵画を見ると得をする理由について考えていきたいと思います。
これを機に、絵画に興味を持つ方が増えてくれれば嬉しいなと思います。絵を沢山載せましたので、それを見るだけでも楽しいと思います!
理由①画家の持つ思いを追体験できる
画家は苦悩の末に、数々の名作を生み出しています。その絵は美しいだけでなく、画家の苦悩が込められています。ぱっと見て美しいと思っても、画家の背景を知ると絵に対する感想に深みが増します。
多少の修復はしているでしょうが、絵の核は描かれた当時のままです。絵を前にして、画家の苦悩を想像することで、画家が絵に込めたやるせない思いに、鑑賞者も当時の空気のままに触れられます。これが鑑賞の醍醐味です。
例えば、ゴッホは耳を切り落としただけでなく、精神を病んで精神病院に入院しています。ゴーギャンは南国タヒチに妻子を捨てて移住しますが、日の目を浴びることなく、無念のまま病死しています。
ルノワールの絵画は綺麗で、一見苦労がなさそうですが、彼自身は貧しい家に生まれて、絵が売れない時期も長く続きました。
ゴッホ「星月夜」
ゴーギャン「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」
ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」
理由②歴史や宗教の勉強になる
絵画には単に鑑賞してもらうだけでなく、布教したり事件を伝える役割がありました。識字率が低く、聖書を読むことができない人のためにビジュアルで分かりやすく神父がキリスト教の話を伝えたり、カメラがなかった時代に革命や戦争等の一大事件を市民に分かりやすく伝えるためには、絵画が不可欠でした。
そのため、必然的に聖書や社会的な事件を描いた作品が多くなり、歴史や宗教を勉強したい人にとっては、格好の資料となります。絵画から宗教等を学ぶ書籍も多数出ていますので、それを使って勉強すると絵が沢山出ていますので、難解な宗教もとっつきやすくなるはずです。
ドラクロワがギリシャ独立戦争を描いた「キオス島の虐殺」はギリシャ人家族が襲撃に怯える様子が描かれていて、戦争写真のような意味合いがありました。
また、多くの画家が描く「受胎告知」では聖母マリアがイエスを授かったシーンを描いています。因みに鳩は聖霊の象徴であるため、受胎告知には鳩が登場します。
ドラクロワ「キオス島の虐殺」
エル・グレコ「受胎告知」
理由③デザインの勉強になる
多くの人を感動させたり、気持ちを落ち着かせる等、鑑賞者の気持ちに訴求する絵画には、画家の画力が素晴らしいだけでなく、美しいと思えるように、デザインのテクニックが使われています。名画には名画たる理由があります。
例えばドラクロワの代表作「民衆を導く自由の女神」では女神と横たわる死体とで三角系を構成させることで、絵画の迫力を増しています。
また、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」は女性の衣装を青と黄色とに分けています。青と黄色は反対色と言われ、反対色は活発さを演出する効果があるため、女性がきびきびと注いでいる印象を与えます。
ドラクロワ「民衆を導く自由の女神」
フェルメール「牛乳を注ぐ女」
おまけ
先日、上野の国立西洋美術館に行って、「北斎ジャポニズム展」と常設展を見てきました。もともとは北斎ジャポニズム展だけの予定でしたが、チケットを見せれば常設展も入れるとのことで常設展も見てきました。常設展の作品の殆どは写真を撮ることが可能だったので、特に気になった作品を紹介します。
紛らわしいですが、ルノワールがルーベンスの作品を模写しています。ルノワールが印象派となる前の作品で、駆け出しの頃の天才が天才の作品を模写したことに感動して写真を撮りました。
帰って調べたら、1861年の作品でルノワールが絵画の塾に入った頃に描かれたことが分かりました。画家としての勉強を始めた頃に塾から練習を命じられて書いたのかもしれません。ルーベンスが描いた作品も探したら見つかりましたので、両方掲載します。
ルーベンスとルノワール、国も作風も異なって一見関係なさそうな二人が繋がったことに一人興奮しました。これも絵画を見てきてよかったことの一つです。