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【西洋絵画】ゴッホ-(後半)絵画に込めた思い

ゴッホ(1853~1890)を紹介します。後半です。

ゴッホは風景を見たままに描くのではなく、自身の内面に抱える感情を風景に投影させて描きました。つまり彼にとって、絵を描くことは心情を吐露する手段だったように思えます。3つのトピックで彼の内面に迫ってみます。

キリスト教への信仰心

ゴッホは牧師の父の下で生まれ、若い頃は宗教家を目指していました。しかしその夢が挫折し、芸術家を志すようになりました。

「ひまわり」では、描かれる花が15本の理由はキリスト使徒12人と自身、弟のテオと親友のゴーギャンを足した数とも言われています。

また、ひまわりは西洋絵画のモチーフとしては「信仰心」や「愛」の象徴です。塗り重ねられた黄色は信仰の篤さを示しているとも取ることができます。

因みに、「ひまわり」は新宿の「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」で見ることができます。(写真はロンドンのナショナルギャラリー蔵の作品ですが。)

「ひまわり」1888年

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②不安定な精神

ゴッホは耳切事件等を筆頭に周囲から理解されず、孤立していき、次第に精神を病んでいきます。

夜のカフェテラス」と星の描かれ方を比較すると。「星月夜」では星がうずまき状に描かれていることからも精神の変遷を伺うことができます。「星月夜」は自身が入院していた精神病院の窓から見える景色をスケッチしたものです。

夜のカフェテラス1888年

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「星月夜」1889年

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さらに、自殺する年と同年に描いた「オヴェールの協会」では空のおどろおどろしさと教会の不安定さが表現されており、ゴッホの精神状態を表しているように思えます。事実、オヴェールは彼の最後の地で、2ヶ月後に自ら命を絶っています。

「オヴェールの教会」1890年

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③日本人の自然観

ゴッホが宗教に傾倒し、自然を宗教的に描いた理由の一つに日本人の影響があると言われています。

浮世絵に着想を得たことは前半でも述べましたが、技法だけでなく、身近な自然を慈しむ日本人の素朴ながらも、深い宗教観に感銘を受けました。

よく入試の現代文で描かれるテーマの中に、西洋人は自然を征服するのに対し、日本人は自然と調和するというものがあります。庭園で比較すると、西洋は自然を左右対称に刈り込み庭園を作りますが、日本ではありのままの自然を活かして庭園を作ります。

ゴッホは「日本人は自身が花であるかのように、一本の草の芽を研究している。日本人が教えてくれるものは真の宗教ではないだろうか」という言葉を残していることからも、日本人の自然観を理解し、憧れていたのだと思います。

1月8日まで上野の東京都美術館で「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」を開催しています。ゴッホと日本との関わりを通して、彼が日本を愛した理由が分かることでしょう。