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【西洋絵画】ロートレック-パリの夜に生きる女性を描いた画家

本日は、ロートレックとその代表作の紹介です。

 

ロートレック(1864~1901)はフランスの画家で、後期印象派に分類されます。

フランス最古の貴族の出身ですが、血族婚を繰り返したために骨が形成不全となり、少年期の骨折をきっかけに足の成長が止まってしまいます。

画家を志してパリに出てきてからは、モンマルトルで酒に耽り歓楽街に入り浸るようになります。

娼婦やダンサーといった夜の女性と交流し、彼女たちを描いた作品が多く見られます。

それでは作品を紹介していきましょう。

 

ムーラン・ルージュのラ・グリュ」

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 1889年のパリ万博年、エッフェル塔と同じ年に完成したムーラン・ルージュを抜きにして、ロートレックを語ることはできません。

ムーラン・ルージュ(フランス語で「赤い風車」)は、モンマルトル最大のキャバレーです。

※モンマルトルはパリ北部にあり、パリで1番高い丘です。ムーラン・ルージュはじめ多くのキャバレーやミュージックホールが集中しており、世界でも屈指の歓楽街でした。

また、ピサロピカソモディリアーニ等、多くの芸術家が住んでいた芸術の街でもありました。

ロートレックは常連として入り浸っていた1891年のある日、興行師から宣伝用のポスターを依頼されます。

ロートレックに依頼する以前は、ジュール・シェレという版画家によって制作されていました。

シェレはフランス随一の版画家であり、その甘く華やかな画風には多くのファンがいました。

シェレ「ムーラン・ルージュの舞踏会」

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 ポスターを描いたことがなかったロートレックは、試行錯誤を重ねるなかで、日本の浮世絵に発想を得て、シェレとは全く異なったポスターを制作します。

平面的な色彩と遠近法を無視した、大胆な画面構成により、ポスターは当時の人々に絶賛されます。

因みに、中央で足を高く上げている女性は「ラ・グリュ(大食いの意)」と呼ばれた人気の踊り子であり、右の男は「骨なしヴァランタン」と呼ばれ、柔軟な踊りで人気を博したそうです。

ロートレックムーラン・ルージュだけで30点以上の作品を描きました。

また、こんな風俗画も残しています。

 

「ムーラン通りの医療検査」

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 こちらは1894年に制作され、娼婦が定期検診を受けている様子を描いたものです。

明るい色彩の背景と対比するかのように、女性たちの表情は険しく、若干の憂いを帯びています。

病気があるかもしれないことへの不安感なのか、検診を受けることに対する後ろめたさなのか。

その一瞬の表情をロートレックは鮮やかなタッチで描いています。

 

パリの夜の世界に生きる、孤独な女性を描いたロートレック

貴族という身分を捨てて、自らも病気を抱えていたからこそ、彼女たちの弱さを理解し、彼女たちを優しく見つめるかのような絵画が描けたのだと思います。

本日もお読みいただき、ありがとうございました。