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【書評】映画を見ると得をする

映画を見ると得をする(池波正太郎新潮文庫)の書評です。鬼平犯科帳剣客商売等の作品で知られる池波正太郎は、自分のことを映画狂(シネマディクト)と評するほどの映画好きでした。氏の映画に対する考え、鑑賞の視点、映画の効用等をまとめたものが本書です。

 

なぜ映画を見るのか

幾つもの人生を、僅か2時間程度で経験できるからだと、氏は言っています。

人間誰しも、自分の人生しか経験できません。しかし、映画を見ることで、西部劇、近未来、大恋愛等、様々な世界に入り込み、その世界に生きる人々の人生を追体験することができます。

 

映画の効用

映画を見続けていると、人間が灰汁(あく)ぬけてくるとも氏は言っています。フランス映画を40年見続けてきた筆者は、初めてフランスに行ったときもいい飲食店を見つけるのが抜群にうまかったそうで、周りの人はびっくりしていたそうです。

 

映画の見方

氏は本書の中で、いい映画は二度・三度と見るべきだと言っています。重ねて見るに連れて、1回目では気付かなかった音楽・カメラワーク・衣装等にも発見があるとのことです。また、年齢を経て見ると、別の視点で見ることができるとも言っています。

また、巨匠の作品でも秀作とは限らないが、ワンショットは素晴らしいものがあったり、つまらない映画でも思いがけない俳優に出会ったりと、どんな映画にも見どころはあると筆者は言います。映画への愛が伝わってきます。

他にも、殺しのシーンに美的センスがあるかで、監督の技量が分かることや、無駄な台詞がない「映画文法」とは何かを芝居と比較して説明しています。

余談ですが、映画は胃の腑に影響を及ぼすとも言っています。筆者は洒落たフランス映画を見たあとは、フランス料理を食べたくなると言っています。

これは本当にその通りで、私も小津安二郎の映画を友人と見た後は和食が食べたくなりました。蕎麦、うなぎ等と迷った挙句、とんかつ屋に入りました。

 

感想(映画を見続けて来た変化はあったか)

もともと映画は好きだったので、大学時代から昔の映画を中心にちょくちょく見てきました(午前十時の映画祭には本当に感謝しています。素晴らしい企画です。)。

本書の存在を知り購入したのが数年前で、氏の言葉に感化され、1年間で100本見たときもありました。累計鑑賞本数は300本位だと思います。

灰汁抜けてきたかどうかは分かりませんが、見てよかったことは幾つかありました。

1つ目に、世界の街並みを知ることができました。例えば、「ニューシネマパラダイス」からはシチリアののどかな風景、「ひまわり」からはロシアの厳格な景色、「旅情」からはヴェネツィアの風情溢れる景色が色濃く思い出されます。書籍でも世界の絶景を知ることはできますが、2時間程度、その街を見ているわけですから、強く印象に残ります。

2つ目に色々な文化を知ることができました。「きっとうまくいく」からは、インドの結婚式はガーデンパーティーが主流なこと、様々な階層の生活様式を拝見できること、「ラストエンペラー」からは、それはそれは壮大な宮殿があること、「アラビアのロレンス」からは、べドウィンの生活様式を垣間見ることができました。

3つ目に、色々な感情を経験できることです。アメリカンニューシネマの筆頭である、「タクシードライバー」や「卒業」からはどうしようもない鬱々とした感情、「たんぽぽ」からは並々ならぬ食へのこだわり、「大人は判ってくれない」からはナイーブな子供の感情、「アニーホール」からは恋愛の難しさ、「歩いても歩いても」からは何気ない感情の機微を堪能することができます。

 

ここで挙げた映画はほんの一例で、紹介したい映画が沢山あります。

映画を見て、年収が上がったとか、もてるようになった等の実利は特にないですが、精神面で多少なりとも豊かになったかなとは思っています。

書評というよりかは、映画への愛を語る記事になってしまいましたが、これからも映画を愛する一人の人間として、映画を見続けたいです。

お読みいただき、ありがとうございました。