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【映画紹介】禁じられた遊び

 今回紹介する映画は「禁じられた遊び」(ルネクレマン監督 1952年 フランス)です。アカデミー賞名誉賞(後の外国語映画賞)を受賞しています。尺は1時間42分。

 第二次世界大戦期のフランスの田舎を舞台に、少年と少女の交流を通して戦争の悲惨さを描いた映画です。

 ナルシソイエペスが弾く、物悲しいギターの旋律も映画に一層の深みを与えます。

 

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トーリー

 少女ポレットは空襲により両親と愛犬を失い、愛犬の死体を抱きながら川沿いを彷徨っていた。するとミシェルという農家の少年と出会い、2人は仲良くなる。ポレットはミシェルの家に住み始めた。

 ポレットは死の概念を分かっておらず、ミシェルは死んだ犬の供養の方法を教えてあげた。犬を埋葬し、祈りを捧げた2人。ポレットは犬が一人で可哀想だから、沢山のお墓を作ってあげたいとミシェルに言う。

 2人は動物や昆虫の墓作りをするが、エスカレートするあまり、墓地から十字架を盗んでしまう。

 

感想

  • 圧倒的な哀愁

 この映画は「哀愁」の映画と言っても過言ではありません。2人が作った色々な動物の墓がナルシソイエペスの「愛のロマンス」をBGMに、映し出されるシーンの、哀しく繊細な美しさは今まで観てきた映画(鑑賞本数は300本ほどでしょうか)の中で、勝るものがありません。

 私がこの映画を初めて見たのは大学時代の春休みです。DVDでの鑑賞でしたが、このシーンを見たときに余りの表現の美しさに鳥肌が立ちました。「こんなにも哀しく美しい映像があるのか!」と衝撃が走りました。当時の私の驚愕ぶりは忘れることができません。この時の感動が私を映画好きにし、こぞって名作映画を観るようになりました。

 名作映画を紹介する本には、大抵この映画が載っており、その評価も数ある名作映画の中でも最高評価やそれに準ずるような評価を得ています。何気なく借りた1本でしたが、当時はそれほど箔のある映画だとは知らずに借りました。

 色々調べていくうちにこの映画が名作中の名作であることが分かり、嬉しくなったものです。

  • ポレットの魅力

 少女ポレットはこの時4歳~5歳位だと思います。ですが非常に大人びていて、ミシェルに十字架を盗むようにけしかける様子に、フランス女性のコケティッシュさ、妖艶さを早くも感じ取ることができます。

 ミシェルはあっさりと篭絡されていて、あぁ女性は怖くてすごいなと、当時は思ったものです。

 因みに、池波正太郎は生粋の映画好き(映画狂)でしたが、彼はルネクレマンのことを「子役の使い方がうまい」と評しています。激しく同意します。

 

  • 婉曲的な反戦への訴求

 この映画は反戦映画の名作と呼ばれています。声高なメッセージはないものの、戦争に翻弄される幼い2人を描いたことで、「反戦」が伝わっているのだと思います。(加えて、隣家とのけんかも戦争を暗示していると思います。)

 タイトルの「禁じられた遊び」は2人の墓作りだけでなく、戦争も指していると考えられています。

 ここに映画の真髄を見ることができます。感動を煽り立てることなく、何も言わずとも、意図を伝える監督の才に脱帽したものです。

 

 

 徹底的に褒めちぎりましたが、それ位、私の大好きな映画です。映画の中で1番好きです。今見ても昔ほどの感動は望めませんが、映画好きのきっかけになった映画でもあるため、ずっと胸の中で大切にしていきたい1本です。