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【西洋絵画】裸婦画の系譜

 昨日の記事では「裸のマハ」を例に、裸婦画について触れました。

 今回は、さらに裸婦画について掘り下げていきたいと思います。

 

ambf.hatenablog.jp

 

 「裸のマハ」登場までは、画家は神話や宗教等にかこつけて裸婦画を描いてきました。単なる女性の裸婦画にならないように、様々なモチーフを使って女神であることを表現してきたわけです。

 昨日も紹介した、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」を用いて説明します。

ボッティチェリヴィーナスの誕生

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  まず、ヴィーナス左の男女の周りには薔薇がたゆたっています。右の女性の胸にも薔薇があります。薔薇はヴィーナスを示すアイテムです。

 また、ギリシャ神話ではヴィーナスは海の泡に包まれて誕生したとされていることから、中央の貝がそれを表しています。

 そして、左の男性は西風の神ゼフュロス、抱き合う女性は大地の精クロリスであり、2人とも愛の象徴です。ヴィーナスは愛の女神ですから、2人はそのことを強調する役割を果たしています。

 以上のように、様々なモチーフを使って、ヴィーナスを表現しているのです。

 

 では次に、ティツィアーノが描いたヴィーナスを見てみましょう。

 ティツィアーノ「ウルビノのヴィーナス」

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 とても綺麗な女性です。私の感想ですが、少し佐々木希に似ているように見えます。こちらは、一見すると普通の女性です。しかし、ただの裸婦画を描くわけにはいきませんから、どこかにヴィーナスの部分を残しておかなければなりません。

 そこで、女性の右手をよく見ると数輪の薔薇が握られています。そうです、この僅かばかりの薔薇が彼女をヴィーナスたらしめています。

 当時のパトロンが、限りなく生身に近いようにと注文したのでしょうか。

 

 次に、昨日も紹介した「裸のマハ」です。手短に紹介します。

ゴヤ「裸のマハ」

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 こちらは、女性が横たわっているだけ。正真正銘、何のモチーフもありません。西洋絵画史上初の、生身の女性を描いた裸婦画です。当時としては非常にセンセーショナルな絵画だったことでしょう。

 

 そして、「裸のマハ」にインスピレーションを受けたと言われているのが、マネのオランピアです。

マネ「オランピア

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 こちらはなんと、娼婦をモデルにしたものです。黒人の召使がお客からの花束を届けるところや、サンダル履きが娼婦を想起させます。

 当時のフランスの新聞や批評家は、こぞってこの絵を、「卑しい作品」と批判しました。展覧会で展示された際は、怒りのあまりステッキで殴りかかろうとする人もいたそうです。 

 数々の批判や罵詈を受けるほど、見たくなるものが人情というもので、この絵を見るために展覧会に行列をなしたそうです。

 多くの批判を受けた背景には、上述のティツィアーノの「ウルビノのヴィーナス」を模した作品であることが挙げられます。構図や腕輪、横たわる動物等、挙げればきりがないほど酷似しています。

 ウルビノのヴィーナスは当時から名画と絶賛されていました。その名画の女神を侮辱したと、新聞や市民は捉えたのでしょう。

 

 最後に余談ですが、今挙げた4点の裸婦画に共通しているものがあります。女性のポーズが全てゆるやかにS字となっています。

 これは女性の美を表現するのに最適のポーズで、女性の恥じらいを表すだけでなく、曲線を強調する効果もあります。古代ギリシャの彫刻から既にこのポーズがあります。

 最近の女性のグラビアでも多く見つけることができると思います。古代ギリシャの時代から現代まで受け継がれていることに驚きです。普遍性がすごいです。

 それでは今日はこんなところで終わりにします。お読みいただき、ありがとうございました。